1年


 
 やっと…


 やっと…


 長かった


 いろいろあった


 思い出の詰まったこの部屋とも
 いよいよお別れのときが来る




 本当に
 あのときはどうなってしまうかと思った


 逃げたくて逃げたくて
 どうしようもなかった



 部屋の隣で

 別の女とセックス中の元彼



 一緒に暮らせるのを楽しみにしていたこの場所で

 他の女と手をつないでる


 12月
 隣のドアにはクリスマスリース


 家を出ようとして
 駐輪所から二人乗りしてるのも見た

 
 思い出の詰まったこの部屋で
 穏やかに眠れる日なんてなかった


 慣れもしないキャバクラのバイトをはじめて
 夜は家へ帰らなかった


 静かな夜には それでも
 隣から男と女の笑い声がかすかに聞こえる


 テレビは大音量
 寝るとき欠かせないイヤホン




 アイドルに走ってみたりもした
 


 そんな自分を
 友達が笑ってるのも知ってた



 就活も卒論もあった

 

 入院費も稼がなきゃいけなかった

 忙しい
 お金もない

 引っ越せない






 だけど


 そろそろ

 お別れだ

 

 本当にお別れだ 

 そんな自分ともこの部屋とも